書を持ったまま町に出よう

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薬師寺「仏教と刀」展 その2 (仏教関連展示を見ての感想と所見)

薬師寺 仏教と刀展を見て

 

 

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「噂の刀展」の会場を出るとそのまま「仏教と刀」展への会場へ着きます。

 

仏教と刀展」は大まかに分類すると下記の通りです。

①仏像・仏画

神仏習合

③刀身彫刻を中心に見るコーナー

 

花会式についてもパネルとビデオを用いて解説されています。

今回の春の特別展のポスターになっている「咒師走り」についても詳しく知ることができます。

 

今回は①と②を順路に従って見ての感想、所見です。

③刀身彫刻については下記。

 

wimwim8282.hatenablog.com

 

 

★仏像・仏画コーナー

 

まず初めにパネルで「仏が持つ刀にはどういった意味があるのか」といことが説明されています。

 

①人の心の中にある煩悩を切り裂き滅ぼすための刀

②外敵を威嚇し仏を守護する刀

 ※仏が持つ武器は、外敵に対してもあくまで「威嚇」のための武器。釈尊の降魔成道の際も武力を用いていません。

 

仏の持物(じぶつ/じもつ。仏像が手に持っているもので、その仏の功徳や能力の象徴)の刀は、日本刀というより剣(三鈷剣等)。

先日、奈良国立博物館の「伊豆山神社の歴史と美術」で三鈷柄剣と推測される剣を拝見したばかりなので、個人的には非常にタイムリーなテーマでした。

 

 

①人の心の中にある煩悩を切り裂き滅ぼすための刀

 

  • 千手観音

千手観音は「千手」というものの、造像される際はだいたい手は42本です。

その手のうち2本は合掌しており、のこり40本はそれぞれ異なる持物を持ちます。

そして、1本の手につき25世界の衆生を救うので、40×25=1000。

 

実際に千本の手を持つ千手観音像も作られており、若干の欠落はあるものの現存しているのは奈良の唐招提寺、大阪の葛井寺、京都の寿宝寺があります。

唐招提寺薬師寺のすぐそばです。

 

千手観音の持物のうちで武器は、宝剣をはじめとして三叉戟、宝鉤(かぎ形の武器)、宝弓、宝箭、鉞斧。

 

 

不動明王は基本的に一面二臂で三鈷剣(倶梨伽羅剣)と羂索を持ち、迦楼羅焔を背負った姿で表されます。

 

三鈷剣→仏敵を威嚇し従わせる・人々の煩悩や三毒を打ち破る

羂索→人々を救い出す縄状の仏具

 

今回拝観できるものは、脇侍に矜羯羅童子と制吒(多)迦童子を従えた三尊形式です。

 

 

八臂の坐像で頭上には宇賀神(人面蛇身)を戴いており、宇賀神と集合した、いわゆる宇賀弁才天です。

華やかな装束と髪飾り、多臂好きにはドストライクです。

 

『金光明経』の八臂弁才天が全て武器(弓、箭、刀、鉾、斧、長杵、鉄輪、羂)であるのに対して、宇賀弁才天の持物は「宝珠」と「鍵」が加えられており、習合した結果日本独自の変化をとげたことが分かります。

薬師寺室町時代に吉野の天川弁才天を勧請しており、そういった背景から信仰されていたと思われます。

 

 

獅子の背の蓮華座に結跏趺坐し、右手に智慧を象徴する利剣(宝剣)、左手に経典を乗せた青蓮華を持っていまし。

文殊の利剣は諸戯を絶つ」とされ、文殊菩薩の利剣は煩悩を断ち切ることを示しています。

 

「三人寄れば文殊の知恵」ということわざで知られる文殊菩薩ですが、文殊菩薩がつかさどる智慧というものは知識という意味での知恵ではなく、悟りへ至るための智慧(=般若)です。

般若というと能の般若の面(嫉妬や恨みで我を忘れた女)を思い浮かべる人が多いですが、面打ちの般若坊から名前がついた等さまざまな説があります。

 

 

 

②外敵を威嚇し仏を守護する刀

 

  • 四天王

甲冑を身に着け、武器を持った姿で表される(制作された時代によって持物が異なることも)。

須弥山の中腹に住むとされる仏法の守護者。

 

持国天:持物はだいたい刀。東方守護。

増長天:持物は戟が多い。南方守護。

広目天:持物は筆と巻物が多いが、武器を持つこともある。西方守護。

多聞天:持物は宝塔。北方守護。(単体で信仰される場合は毘沙門天扱いになることが多い。)

 

 

  • 釈迦三尊六善神像

武装した十六善神らが釈迦三尊を囲む図像で、国土安全などを祈願する大般若経転読法要で祀られるものです。

十六善神のうち幾人かが武器を持ち守護に努める姿をした絵が描かれています。

 

 

 

神仏習合について

 

仏教伝来以前からも刀は力あるものとされていました。

休ヶ丘八幡宮薬師寺の南に位置する)のご神神宝が展示されています。

薬師寺への参拝前にはまず休ヶ丘八幡宮に詣でて身を清めてからという作法が伝わるそうです。)

 

・黒漆木彫太刀

・黒漆太刀

鞘に納まった状態で展示されています。

前述の木彫太刀と似た形で、鞘がかなり細くて薄いが、刀身?がちらっと見えます。

・鞘の残欠

・鏑矢

 

神仏習合について、休ヶ丘八幡宮については「薬師寺」第187号で触れられてます。

価格はなんとお買い得な500円です。 

 

聖徳太子

腰に太刀を下げており、政治家の正装であったことが分かるとのこと。

 

 

以上です。

 

 

 

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