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書を持ったまま町に出よう

引きこもりぎみ方向音痴なアラサーOLが旅行したりする。歴史/美術/古典芸能すき。博物館・美術館/史跡巡り/謡蹟探訪メイン。

粟田口藤四郎吉光が弁才天の相槌で刀を打ったはなし

 

三条小鍛冶宗近が稲荷明神の相槌で小狐丸を打った伝説は有名ですが、粟田口藤四郎吉光にも神仏の助けを得て作刀した逸話が残っています。

 

京都市東山区の吉水弁財天堂 (円山弁天堂)がその舞台です。

円山公園の東、東山の中腹に位置します。北に隣接する安養寺の飛地境内、境外仏堂です。

 

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ちなみに、弁財天堂をでて安養寺の前を通り、知恩院を抜けて青蓮院門跡を過ぎてしばらく歩くと粟田口神社につきます。

 

「吉水」は文字通りこの地に「良い水」が涌いていたことを意味し、現在でも境内に井戸があります。やはり作刀には名水が欠かせないものですね。

法然上人も使ったといわれる閼伽水の井戸。 

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吉水弁財天堂は弁財天と裏堂に宇賀神将尊を祀っており、粟田口藤四郎吉光は弁財天の相槌を得てこの地の名水で名刀を打ち有名になったとのことです。

今もなお堂の下にその時吉光が用いた鉄砧石が残っているそうなのですが、堂の下は暗く確認できませんでした。

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さて、弁財天は神仏習合の影響で日本独自の変化を遂げています。

もともと日本に伝来した八臂の弁財天の場合、持物は全て武器(弓、箭、刀、鉾、斧、長杵、鉄輪、羂)ですが、(なお、二臂の弁財天が琵琶を持った妙音天などと呼ばれるタイプです)

鎌倉時代以降になると、八臂の弁才天が宇賀神と習合し、信仰されるようになります。弁財天の頭上に宇賀神が載り鳥居を構える姿で表されます。

この宇賀弁才天の持物には「宝珠」と「鍵」が加えられており、これは荼枳尼天の持物と同様です。

宇賀神は人頭蛇身でとぐろを巻く姿で表されますが、出自ははっきりしない神です。その名から宇迦之御魂神と関係があると推測されていますが詳細は不明です。

 宇迦之御魂神や荼枳尼天など、三条小鍛冶宗近の相槌伝説との共通点がありそうですが関わりがあるのでしょうか。

 

お堂に貼ってあった説明書きを書き起こしました。

(同一の単語で漢字表記に違いがあるものもありますが、すべて説明書きそのままです。)

  

吉水辨財天尊の由来 

円山吉水辨財天尊

辨財天は妙音天、美音天とも訳し、大辨財天女或いは略して辨天、俗に辨財天とも言われている。金光明経を受持する者を守護し、この経を聞くものをして、捷利辨財、無尽の大慧を得しめ、現世に寿命を増益し、資具を円滑ならしめんと誓われている。つまりこの天女に祈れば、福徳知慧を授かり、延壽、財宝を戴き、技芸が上達する。

弁財天は仏教伝来とともに印度から伝わった天女で、サンスクリット名は「湖を有する者」の意味を持つ、水は人間をはじめ生き物の生命を生み出し、保つ上で大切なものであり、その水をつかさどる神様であるから、一切世間の母と称されているのである。

円山、吉水辨財天は建久年間、慈鎮和尚が安養寺境内の名水「吉水(よしみず)」のほとりに勧請されたもの。源照という琵琶法師が技芸上達を、この天女に祈り、有名になることを願ったが、琵琶の妙曲を奏することが天聞に達し、後小松院の恩寵を蒙り、盲人ではじめて紫衣を賜った。そのお礼に堂を建立したので、紫衣辨財天と呼ばれるようになったと言う。

鎌倉時代の刀工、粟田口藤四郎吉光は、辨財天の相槌を得て、この名水で名刀を打ち有名になった。今もなお堂の下にその時吉光が用いた鉄砧(かなとこ)石が残っている。

弁財天は七福神の中でも唯一人の女神とされ、容色うるわしく、音楽、技芸、福徳、財宝その他あらゆるものをお授け下さり、弁舌の才を助け、知恵を与え、怨敵(おんてき)を除く神様であるから、古代より今日に至るまで、そのお蔭を戴いている人は数限りない。また

〝この恋の叶わぬ時は円山の辨天様の池の井守のつがいを採って、真っ黒黒焼き大和のほうらく……想うお方にふりかけしゃんせ、この恋叶います〟という唄が祇園に残っているように、恋愛良縁も叶えて下さるようである。

 

宇賀神将尊

仏説最勝護国宇賀頓得如意宝珠陀羅尼経の一節に「一の神主あり、名付けて宇賀神将という。無量劫より以来、大慈大悲を修習して、一切衆生のため大良福田となる。その形、天女の如く頂上に宝冠あり、冠中に白蛇あり。その蛇の面、老人のごとく眉白し、またこの神王身白蛇の如く、白玉のごとし」とある。つまり辨財天の宝冠にある白蛇がそれであり、弁財天女の別称ともなれば、使者でもあるとも言い伝えられている。宇賀とは、梵語(インドの古い言葉)で財施の意味。誠の心を持ってこの神に供養し、尊信する者は、衣食住、愛敬を授けられると言う。また本地垂迹説では、宇迦之御魂つまり稲荷大明神の本地だと言われており、五穀豊穣、商売繁盛の神でもある。稲荷大明神の場合は、白蛇が、白狐に変わって現れる。

また、宇は天で虚空蔵、賀は地で地蔵尊、神は観音で、宇賀神をもって虚空蔵、地蔵尊、及び観音の合成神であり、この三才を兼ねて主とするとも言われ、知恵と慈悲を兼ね備えた大福神とされている。円山辨財天の宇賀神将は、辨天堂の裏堂に安置され宝珠を頂上に置いた巨大な白蛇に変じて、お姿を見せておられる。辨財天が現世にその御威徳を発揮される力強いお姿と見てよいだろう。従って、御利益は辨財天の持っておられる全てのご威力を代行なさるが、特に技芸上達、学術向上、商売繁盛、子孫繁栄、愛敬増幅、除災招福の御利益ありと言い伝えられている。

 

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境内にある弁財天像(たぶん…)。 

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鎌倉時代の慈鎮和尚多宝塔(重文)

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異神―中世日本の秘教的世界

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